ビタミンF(重松清)

正真正銘の傑作。直木賞受賞作の本作で、家族について書かせたら右に出るものはいないであろうことを再認識させられました。重松氏の最近の作品には読者の感情を無理に高ぶらせようという感じが見え隠れしますが、本作は、ありのままの現実、そしてありのままの家族の絆、堕落、希望。読んでいるとノンフィクションと勘違いしそうな緻密な構成にも脱帽。それにしても今回の作品に登場する夫はすべて30代後半〜40代前半。自分とほぼ同じ年齢だというのに、妻がいて、子どもがいて、いろんな人生の問題が山積して。逆にうらやましくなってしまう自分が情けない。